「もう歳だから…」と、運動をためらっていませんか? たしかに高齢になると、筋力の低下やバランスの不安定さを感じることが増えてきます。しかし、今まさに「体を動かすこと」が将来の健康を守るカギとなります。中でも“体幹”の筋肉を鍛えることは、転倒防止や姿勢改善、呼吸機能の安定など、多くのメリットがあります。
この記事では、体幹トレーニングがなぜ高齢者に効果的なのか、安全に始めるにはどうすれば良いのか、信頼できる根拠と実例を交えながらご紹介します。
体幹トレーニングが高齢者に効く理由

体幹とは、腹部、背中、骨盤まわりの筋肉を指します。体幹を鍛えることで、以下のようなメリットが期待できます。
- 転倒予防:バランス能力が向上し、ふらつきやすさが減少
- 姿勢改善:背筋が伸び、猫背が改善されることで若々しい印象に
- 呼吸が深くなる:横隔膜や肋間筋が働きやすくなるため
- 腰痛予防:インナーマッスルの強化で腰椎の安定性が向上
◆ 厚生労働省の高齢者向けアクティブガイドでは、多要素な運動(筋力・バランス・柔軟性)を週3日以上、筋力トレーニングを週2〜3日行うことが推奨されています。 (参考:健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 高齢者版)
また、高齢者のバランス能力と転倒との関連について、国立長寿医療研究センターの研究では「体幹筋力が高い高齢者ほど転倒リスクが低い」ことが報告されています。
介護リハビリと体幹トレの違い
| 項目 | 介護リハビリ | 高齢者向け体幹トレ |
|---|---|---|
| 目的 | 機能回復や生活動作の維持 | 姿勢改善、体幹強化、予防重視 |
| 実施場所 | 介護施設・病院・デイサービスなど | 自宅、スタジオ、公民館など多様 |
| 指導者 | 理学療法士・作業療法士など | フィットネスインストラクター、介護予防指導士など |
| 内容 | 関節可動域運動、歩行訓練など | 呼吸と連動した体幹筋強化、バランス運動など |
リハビリが「失われた機能を取り戻す」ことに対して、体幹トレーニングは「今ある体をより良く使う」ことを目的としています。
安全に始めるためのステップ
高齢者が体幹トレーニングを安全に始めるためには、以下のポイントを押さえることが大切です。
- 主治医に相談する
- 持病や整形外科的な不安がある場合は、運動制限の有無を確認しましょう。
- 無理のない動きから始める
- 初心者には椅子に座った体幹運動や寝た姿勢でのエクササイズが適しています。
- 継続的に行うことを意識する
- 効果を実感するには週2回程度、最低でも3ヶ月以上続けるのが理想です。
初心者向けのおすすめ体幹トレ
- 椅子でできる体幹ひねり運動
- 椅子に座ったまま、手を胸の前でクロスして、左右にゆっくりとひねります。
- 仰向けでの膝倒し運動
- 仰向けに寝て、両膝を立てた状態で左右交互に倒していきます。
- ドローイン(腹式呼吸)
- お腹をへこませながらゆっくり呼吸をすることで、深層筋に働きかけます。
これらはすべて、器具不要で自宅でもできる安全な運動です。
継続するためのコツと注意点
- 無理をしないこと:痛みを感じたらすぐ中止しましょう
- 家族と一緒にやる:孤独感を防ぎ、モチベーション維持に
- 記録をつける:日記やカレンダーで継続状況をチェック
- 正しい姿勢を意識:鏡で自分の姿勢を確認しながら行うと◎
70〜80代の体験談

■ 80代女性(名前非公開)
ピラティススタジオBB(三軒茶屋)に通う80代女性はマシンピラティスを週1〜2回継続。
「20回目のセッションで左右バランスが改善され、猫背がしっかり伸びました。以前より立ちやすくなったと実感しています」との変化がありました。
■ 86歳女性(名古屋)
ユニバーサルピラティスのレポートでは、脊柱管狭窄症のため腰痛があった86歳女性が週1回、半年間ピラティスを継続。
「3週間でスタジオに慣れ、6ヶ月後には痛みがほとんど消え、日常動作への不安が減りました」と報告されています。
■ 78歳女性(船橋スタジオ利用)
Instagram投稿では、78歳のお祖母様が毎週グループレッスンに参加し、
「マシンピラティスを始めてから、ベッドから起き上がるのが楽になった」と報告されています。
お近くのスタジオを活用しよう
体幹トレーニングは自宅でも始められますが、正しいフォームや呼吸法を学ぶには、インストラクターの指導を受けるのもおすすめです。お近くのピラティススタジオやシニア向けの運動教室を訪ねてみることで、より安心して始められます。高齢者向けクラスがあるか、体験レッスンを実施しているかなどを確認してみましょう。
まとめ
体幹筋トレは、高齢者にとっても無理なく、安全に始められる運動です。
転倒予防・姿勢改善・呼吸機能の安定・心身の健康…さまざまな側面でメリットが期待できます。
特別な道具や難しい技術は必要ありません。「続けること」が最も大切です。
まずは椅子に座って、深呼吸から始めてみませんか?あなたの今日の一歩が、未来の健康を守る力になります。


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